美男子症候群!?
「憧れなんだ。父のようになりたいって、昔からずっと思ってる。
父が弁護士をしてるから、俺もいま弁護士を目指してるんだ」
「へ~、弁護士さんですか。久木先生は優しいしかっこいいから、大人気の弁護士さんになっちゃいますね」
「ふふ。いい年してファザコンなんてって、笑わないの?」
なーにをおっしゃいますか先生。
笑えませんって話ですよ。
あたしの特大コンプレックスこそ、笑いのネタみたいなもんですからね。
ブラコンとかファザコンとか、それってちっとも恥ずかしいことじゃないよ。
だって愛情なんだよ。
家族が大好きで、おかしいことなんてなんにもない。
「だって、あたしも同じですもん。ファザコンなんです。お父さんわりとかっこよかったし、あたしには特別優しかったし。
もうずいぶん前に他界してるんですけどね」
まあ、それとは別に深い恨みもありますが。
お父さんの呪いのおかげで、あたしは普通の女のコみたいな甘酸っぱい青春を、ちーっとも味わえていないわけだからね。