美男子症候群!?
「あのね、陸斗くん今度、うちの学校来るって言ってたよ」
「う、うそ!」
「ほんとー。だからその時、挨拶してみようよ」
うちのサッカー部の練習を、見学しに来るらしい。
本気でこの高校に入るつもりでいるのかも。
大好きなお兄さんに冷たくされてもめげないなんて、すごく根性のあるブラコンだ。
あんなかわいい弟に慕われたら、メロメロになっちゃいそうなものなのに。
拓海くんの心の傷も、けっこう深いんだなぁ。
「野宮」
「うっ」
いま考えていた人の声が、生徒玄関に入った途端響いてきて、あたしは思わず足を止めた。
拓海くんが1人で、うちのクラスのくつ箱の前に立っていた。
紗知子は我関せずって感じで、さっさと上靴をぬぐ。
うう、せめて壁になるとかしてくれてもいいんじゃないの、親友。