美男子症候群!?
あたしがそう言うと、拓海くんは舌打ちした。
理解できないって感じで、イライラしたように髪をかきあげる。
「なんで野宮があいつをかばう? 俺にはわからねーな」
「なんていうか……あたしが好きな人に、ああいうことを言われたら、つらいなって思ったから。
……ごめん、上手く言えないや」
拓海くんの手をそっとはずして、あたしは教室を出た。
廊下を出ると、紗知子とはちあわせる。
「あれ、ハル。どこ行くのよ? もう担任来るわよ」
「うん、ちょっと。あとで話すね」
紗知子の制止する声も振りきって、あたしは篠田さんを探して走った。
トイレにはいなくて、使われてない教室かなと思って、階段をのぼろうとしたら、
上の方からかすかに、すすりなく声が聞こえてきた。
そっと上がっていくと、屋上へ続く階段の途中で、篠田さんが膝を抱えて座りこんでいた。