美男子症候群!?
いやだと思った。
拓海くんがいない学校なんて。
拓海くんがいない教室なんて。
拓海君が隣りにいない席なんて。
そんなの、ちっとも楽しくないよっ。
「拓海く……」
「兄さん!」
なんとかして止めようとした時。
最悪のタイミングで、最悪の声が響いた。
すぐうしろの廊下に、ジャージ姿の陸斗くんが立っていたんだ。
「陸斗くん……」
「あっ。ハルさん、こんにちは。
兄さん、今日は僕、部活の見学に来たんだ。練習にも参加させてもらえるっていうから、着替えたんだよ」
「へえ」
「それで……僕、やっぱりこの学校狙ってみようと思うんだ。だめ、かな?」
陸斗くんは、もじもじしながら拓海くんを見つめる。