美男子症候群!?
「ううん……聞いてないけど。きっと遅刻してくるんじゃないかな?」
「え~。あたしなら遅刻とかめんどーだからぁ、休むけどな~。
拓海も今日は来ないかもかぁ。つまんなぁい」
花びらみたいな唇をとがらせる篠田さんに、鼻息荒く男子たちが群がる。
このあとフケてカラオケ行こうとか、篠田さんを競うみたいに誘う男子たち。
篠田さんは相手にしないで、さっさと自分の席へ戻っていく。
本当に、拓海くんひとすじなんだよねぇ。
拓海くんが学校やめちゃったら、篠田さんすごい悲しむよ。
篠田さんも学校やめるとか言いだしちゃうかも。
自分の気持ちをはっきりと自覚したいま、あたしは篠田さんの気持ちがよくわかるから、昨日のことは話せない。
お願い拓海くん、学校に来て。
あなたがいなくなったら、悲しむ人がたくさんいるよ。
だって拓海くんは、いつもたくさんの人に囲まれてたじゃない。
そういうものから、目をそらさないでよ。
あたしは右隣の席をじっと見つめながら、ただただそう願った。