美男子症候群!?
「あ、た、拓海くんっ!」
「よう」
「うん。あの……来てくれて、ありがとう」
あたしがうれしい気持ちを隠さずにそう言うと、拓海くんは小さく笑った。
いつものいじわるな感じの笑い方じゃなくて、こう、白くてキラキラしてる笑顔だった。
「なんだそれ。なんで野宮が礼言うんだよ」
「だって、昨日あたしがしつこく言ったから、来てくれたんでしょう?」
「そーだけど。でも礼を言うのはおまえじゃないだろ」
「え? どういう意味?」
首を傾げると、大きな手に頭をわしわし撫でられた。
まるで犬にするみたいに。
でも、嫌な感じじゃなくて、なんだか照れくさい。
「放課後、話ある。空いてるか」
「放課後? あ、でも今日は家庭教師の日で……」
「ああ、じゃあ送る。先帰るなよ」
そう言って、拓海くんは仲間の輪の中に戻っていった。