美男子症候群!?
「あー! そっか、うん、そうだよね! ごめんね兄さん」
「わかればいい。行くぞ、野宮」
「へ? あ、あたし全然わかんないんですけど……」
「おまえはわかんなくていいんだよ」
拓海くんに腕を引かれ、ずるずる引きずられるように、あたしは陸斗くんから離される。
いや、もう慣れたんですけどね、こういうことされるとまた女子たちに注目されちゃうんだけどなー。
兄弟そろって空気読めてないんじゃないのかなー。
まあ拓海くんの場合は、ドSだからわざと読んでないのかもしれないけどなー。
「野宮さん! 平凡も悪くないと思います! また今度、お礼しに来ますから~!」
そう笑顔で言って、陸斗くんは無邪気に大きく手を振ってきた。
間にちょいとはさんできた毒は、聞かなかったことにしよう。
そんなことよりも、
拓海くんと一緒に帰るために、わざわざ来たんじゃなかったの?
わからないことだらけで、あたしは混乱しながら拓海くんに引きずられていった。