美男子症候群!?


「しかも……あの男とカブるとか。最悪だろ」



「カブる? なにが?」



「それ。そのピン、あの家庭教師からのだろ」



「え。あー……」




そういえば、今日もしてきてたんだった。


久木先生からもらった、ティアラのピン。



言われてみれば、たしかにティアラかぶりしてる。




「でも、どっちもかわいいよ。こういう女のコっぽいのって、自分じゃあんまり買わないから、すごくうれしい」



「あー、そう」



「うん。あ、でもこれはやっぱりもらえないよ。夢でもね、いくらなんでも図々しいっていうかね」



「は? 夢? なにわけわかんねーこと言ってんだ。っつーか、そっちのピンは受け取っといて、俺のはつき返すとか、ありえねえからな」




威圧的に言われて、あたしは苦笑した。



まったくもう、拓海くんてば、夢の中でも俺様なんだからー。


でも夢だと思えば、あんまりこわくないや。



あ。夢なら拓海くんの顔見ても、鼻血出ないんじゃない?


夢だもん、あたしの都合の良いようにできるかもだよね?

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