美男子症候群!?


「だめだ、イラつく。それ外せ」



「え。あ、わ、ちょ……っ」




拓海くんの大きな手が伸びてきて、あたしの髪にふれる。


そのまま勝手に、ティアラのピンをとられてしまった。




「か、返してください~っ」



「返すよ。そのかわり俺の前で、このピンつけんな」



「えぇ? 拓海くんてばまた、そんなわけのわからない俺様発言を……」




冗談でしょって、笑おうとした。


けど、ぐいっと手を強く引かれて、びっくりして顔を上げてしまう。




あ、拓海くんの顔を見ちゃ……!



って、夢だから大丈夫だよね。



夢でもいいや。


大好きな拓海くんのお顔を、思う存分見られるチャンス!



ちょっと冷たそうな印象の、切れ長の目。


筋の通った、形のきれいな鼻。


厚みのない、色味の薄い唇。



近くで見れば見るほど、素敵です!

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