美男子症候群!?
どれくらいかっていうと、それはギネスに申請したくなるくらいの記録的出血。
なんで……夢じゃ、なあああいっ!?
「……は?」
見事に顔面を真っ赤に染められた拓海くんが、呆然と立ち尽くしている。
やった。
とうとう、やってしまった。
ずっといままで我慢してきたのに、耐えてきたのに。
17才の誕生日なのに。
憧れてきた人に、学校のミスターに、好きな人の顔に、
鼻血をぶっかけちゃったよ――――っ!!
「ふ……ふぎゃあああああああああああああっ!!」
あたしはハンカチで鼻をおさえながら、乙女にあるまじき叫び声をあげて、そこから猛ダッシュで逃げだした。
振りかえることなんて、できなかった。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
そんなに美しいお顔に鼻血なんてありえない体液をぶっかけてしまってほんっとーに申し訳ございません!
鼻血と同じだけ、涙を流しながら走った。
鼻から出てくるのが鼻血なのか鼻水なのか、もうわからなかった。