美男子症候群!?
めそめそしながら家に帰ると、玄関には久木先生のスニーカーがあった。
そうだ、家庭教師の日だったんだ。
でもどうしよ。
とてもじゃないけど、勉強なんてする気分になれないよ。
「あ、ハルちゃんお帰り。遅かったね……ハルちゃん?」
玄関のたたきで、ぼーっと突っ立っていたら。
リビングから久木先生が出て来て、あたしを見て目を見開いた。
「どうしたのハルちゃん。目が真っ赤だよ。なにかあった?」
優しい手が肩に触れる。
先生があたしの顔をのぞきこんできて、心配そうに眉を寄せる。
薄茶の瞳を間近で見た瞬間、涙腺が一気に崩壊した。
「ふ……えええええええ~んっ!!」
鞄をどさっと下に落として、棒立ちのまま泣いた。
涙と鼻水でぐちょぐちょになっても、どうでもよかった。
「は、ハルちゃん? どうしたの? どこか痛いの? それとも誰かにいじめられた?」
焦ったように言って、先生があたしの頭をなでる。
まるで小さな子どもにするみたいに。