美男子症候群!?
優しい手の温度を感じながら、あたしは鼻をずびずび鳴らした。
本当に、どうしてなんだろう。
久木先生に優しくされると、なぜだか懐かしい気持ちになる。
そしてとても、安心するんだ。
自然な仕草で抱きしめられたけど、
緊張してドキドキするどころか、どんどん体から力が抜けていく。
「久木先生……」
あたしは先生のシャツの胸元を、キュッと握って、整いすぎた顔を見上げた。
「どうして……」
「うん?」
「どうして、先生なんですか?」
「え?」
久木先生の戸惑う顔が、さらに溢れてきた涙でゆがむ。
あたしは顔を先生の胸にこすりつけて、涙をぼろぼろこぼした。
「どうして先生の顔を見ても、鼻血が出ないんですかあっ!」
「ハル、ちゃん?」
「どうして拓海くんだと出るのに、久木先生だと出ないんですか!」