キミはいつも意味を持たない

なんだかズシンと気が重くなったのには、気付かない振りをしよう。


「あのね、少しは考えてから行動してくれる?」

「いや、めちゃめちゃ考えたんですって!」


自信満々なキラキラした顔をぐっとあたしに近づける。


「もう考えれば考えるほど、会いたくて会いたくて仕方なくなっちゃって」


ニコニコと無駄に幸せそうな笑顔から放たれる、強烈なピュアラブ発言。

これは相当な羞恥プレイだわ。


「キミは……なんでそんな恥ずかしいこと平気で言えるの」

「え、俺恥ずかしいの?」

「恥ずかしいわよ」


全く自覚のない彼の、少し不服そうな顔にちょっと笑いが込み上げる。

7つも年下のオトコに赤面させられるなんて、あたしもまだまだね。

なんていうか、心臓の奥がむず痒いみたいな感覚。

遠い遠い昔に感じたことがあるようなないような。

あたしもきっと、こういう感じだったんだろうな。
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