キミはいつも意味を持たない
「分かった。特にプランがないならウチに来なさい。寒いわ、ここ」
キミは若いから寒さなんかへっちゃらなのかもしれないけど、24のあたしには辛いのよ。
なんて心の中で呟いた。
ちらりと彼を見ると、普段あまり大きくない目を見開いてぽかんとしている。
「ウチって、智子さんの部屋?」
「そうだけど」
「うっわー! やべぇ、緊張する!」
やべぇ、と言いながらもニヤニヤしながら独りではしゃぐ彼に、少し目眩がした。
「嫌なら帰れば良いじゃない」
「行く行く! 行きます!」
全く、この子の視線ってキラキラし過ぎてもはや痛い。
だけど犬みたいに喜んではしゃぐ姿は、好感が持てる気がした。
そしてあたし達は二人並んでマンションまでの道を歩いた。
彼がウキウキしてるのがなんとなく分かって、あたしまで照れ臭い。