キミはいつも意味を持たない
しばらく一定の距離を保って歩いていたけど、チラチラとあたしの顔を見る視線に気がつく。
なんなのよ、と声には出さずに彼の顔を振り向くと。
「手、繋いで良いですか?」
……わざわざそんなこと聞かないでよ。
ていうか、手繋いで歩くこと自体恥ずかしい。
何も答えないあたしに痺れを切らしてか、彼はあたしの左手をパッと取った。
「あっ」
「へへ。智子さんの手は暖かいなー」
キミの手もちゃんと暖かいよって、心の中だけで囁いた。
嬉しそうに笑う顔はこんなに幼いのに、繋いだ手はしっかりオトコなんだから。
ちょっと、ずるい。
なんとなく気恥ずかしさで彼の顔が見れないまま歩いていると、彼と同じ高校の生徒が数人見えた。