キミはいつも意味を持たない
「えっと……」
「俺、佐倉空人(サクラソラト)といいます」
うん。
名乗られたってやっぱり分からない。
もうお手上げ。
だけど、その後に続けられた彼の言葉にはもっとお手上げだった。
「ずっとあなたが気になってました。付き合って下さい」
「……はい?」
思わず聞き返してしまった。
だって、そうでしょ?
名前だって覚えのない、完全に5つは年下の高校生が、社会人3年目のくたびれたOLにこんなこと言うなんて。
理解が追いつかないのって、当然だと思う。
「あたし、キミと知り合いだっけ?」
かろうじて言えたあたしの言葉に、彼は気まずそうに首を横に振った。
「コンビニで、俺、バイトしてて……」
コンビニ、と言われてあたしはよく利用する、マンションの近くのコンビニを思い浮かべた。
「あっ」