キミはいつも意味を持たない
すると彼はくっと眉を寄せ、複雑な表情を見せた。
「ごめん、智子さん。アイツら馴れ馴れしいから」
「良いのよ。あたしだって数年前はあんなものだったわ」
まぁ、もう二度と関わりたくないとは思ったけれど。彼が悪いわけではないから、黙っておこう。
「友達の前じゃちょっとカッコつけるのね」
「う……、すみません」
素直に謝る彼の、しょんぼりとした顔にちょっと笑う。
「まぁいいけど。さぁ、ここよ」
話している間にあたし達はもうマンションの前まで来ていた。
「あ、うん。ここ、なんだ」
急にどもる彼は、ごくりと生唾を飲んだ。
……うわ。
「ちょっと。いかがわしい事考えてるなら入れないわよ」
「考えてないです!いや、もう、全然!」
あ、また照れた。
照れのポイントがあたしにはよく分からないな。