キミはいつも意味を持たない
部屋に入り、あたしは冷蔵庫と相談して夕食を用意した。
その間かまっていられないので、彼にはDVDを選ばせて勝手に見せていた。
出来上がったものをテーブルに運ぶ。
「はい。どうせキミも食べるんでしょ?」
「やった!」
彼はあたしの作ったオムライスを見て目を輝かせている。
ぱくぱくとあたしの2倍以上のスピードでスプーンを口に運ぶ。
食べ盛りってすごい。
「キミはなんでも美味しそうに食べるのね」
ぽつりとそう言うと、彼はピタッと手を止めて黙ってしまった。
「どうかした?」
「さっきは空人って呼んだのに」
急にそんなことを言われても何のことだか分からず、あたしはしばしフリーズした。
「友達に会った時です」
「あぁ、あの時ね」
あたしがからかって、確かに彼を空人って呼んだ。