キミはいつも意味を持たない

オーダーしたカプチーノは、ふわふわの泡がたっぷりで優しい甘さがあった。

美味しい。

会社からも近いし、今度はランチも食べに来たいな。


店内はわりと静かで、調度良いからここで本を読んじゃおうと思って鞄を探る。

するとタイミング良くと言うかなんというか、携帯に彼からの着信。


「……もしもし」


あたしは周りに気を使いながら、声を抑えて電話に出る。


『智子さん、今何してるの?』


電話の向こうからは、何が楽しいのか、弾んだような声が聞こえる。


「カフェに居る。最近出来たとこ」

『えっ? 一人?』

「そうだけど」

『俺も行く!』


そう言って電話は切れてしまった。


ちょっと……、あたしの意見は聞かないわけ?

まぁいいか。

やれやれと、仕方なくあたしは本を読み始めた。
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