キミはいつも意味を持たない
頬を真っ赤にしてカフェに入って来た彼は、さらに幼く見える。
息が切れている所を見ると、走って来たのかもしれない。
あたしに会うために走って来たんだと思うと、何だかこそばゆい気持ちがした。
「すいません、コーヒーお願いします」
彼はウェイトレスに注文し、上着を脱いだ。
「コーヒーなんて飲むの?」
「飲むよ? 高校生がみんなコーラしか飲まないと思ったら大間違いだからね」
「あら、そうなの」
あたしは彼の言葉に少し笑う。それを見て彼も嬉しそうに目を細めた。
「何読んでるの?」
彼はあたしの手元にある買ったばかりの本を見る。
「小説。さっき買ったの」
「それ、最近出たやつだよね? 俺も気になってたんだ」
あたしは、嘘でしょ?と言う気持ちを込めて眉を寄せた。
彼はそれを見てまた笑う。