キミはいつも意味を持たない
「高校生が読むのは漫画だろって顔だね」
クスクスと笑いながら楽しそうに彼が言う。
おおかた図星だったのでわずかにギクリとしたけど、あたしは笑ってごまかした。
「智子さんの高校生のイメージがだいぶ分かってきたよ」
そう言って彼はさらに楽しそうにケラケラ笑った。
あたしが活字だけの本を読むようになったのは大学に入ってから。
コーヒーに関しては、砂糖を入れずに飲むようになったのは社会人になってから。
そんな些細なことだけど。
それを判断材料にするのもどうかと思うけど。
「意外とオトナなのね、キミは」
ぽつりとそう言うと、彼はさっきまで笑っていた目をぱちくりとさせた。