キミはいつも意味を持たない
結局、オトナだとかコドモだとか、枠組みに捕われていたあたしがやっぱり幼かったんだ。
あたしは何かスッキリした気持ちで、不思議に心が晴れていた。
相変わらずあたしに向けられるキラキラとした眼差し。
あたしは不意にその眼差しが嬉しくなり、ふっと笑った。
するとそれに釣られるように、彼もふにゃっと笑った。
「どうしたの?」
「え?」
「笑ったから」
彼に笑った理由を聞くと、彼はキョトンとする。
「だって、智子さんが笑ったから」
彼の言葉に、今度はあたしがキョトンとする番だった。
「あたしが笑うと面白いの?」
ちょっとからかうみたいに、あたしが言うと。
彼はさらに笑みを深めて返した。
「違うよ。智子さんが笑うと嬉しいんだよ」