キミはいつも意味を持たない
・強がり

カフェを出たあたし達は、日の暮れだした駅前の道を並んで歩く。

スーパーで買い物をして、うちで夕飯を食べようという空人の提案を、あたしは了承した。

すっかり彼のペースに乗せられて、いかにも恋人同士らしい過ごし方。

なんだかこそばゆいけど、今日は多めに見てあげる。

ニコニコと弾むような笑顔を浮かべる空人を見上げる。


「何か作って欲しいものある?」

「まだ食べたことないもの!」

「煮物とかでも良いの?」

「うわ、煮物食べたい!」


また意外な反応が返ってきて、口元が緩む。

高校生はジャンクフードがご馳走なんだと思ってたから、煮物を食べたがるなんて面白い。


「でもシイタケ入れないでね」


そうかと思えばこんなにコドモっぽい発言をしたり。

そんな風にくるくると表情を変える空人に、あたしは次第に魅力を感じ初めている。

まだ、空人には言ってやらないけどね。
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