キミはいつも意味を持たない
ピンストライプのグレーのスーツに黒いコート。
よく磨かれた革靴。
まさに出来るオトコといった風貌の堀川さん。
対してあたしの隣に立つひょろりと細い空人はというと。
ダウンジャケットを羽織り、緩めのジーンズにスニーカー履いて。明るい髪に、ピアス。
そんな空人を見る堀川さんの顔には「ガキだな」と書いてある。
空人には悪いとは知りつつ、あたしはつい恥ずかしいと思ってしまった。
あたしの顔が曇ったのを知ってか知らずか、隣に居た空人がけろりとした様子で口を開く。
「イトコなんですよ。たまたま近くに遊びに来てたんです」
空人の言葉にあたしは顔を上げる。
あまりにもケロッと言うものだから、堀川さんも納得したようだった。