キミはいつも意味を持たない

堀川さんは用事があると言ってそのまま去っていった。

後に残されたあたしと空人の間には、少しだけ気まずい空気が流れた。

気を使ってくれたことや、不自然な笑顔の意味について聞こうとしたけど。

わざわざ話す必要もない気がして、あたしはしばらく黙った。

すると口を開いたのは空人の方だった。


｢あの人と付き合ってたの？｣


声色は普段と変わらないけれど、その表情はいくらか強張って見える。


｢あ、うん。あの、さっきは……｣

｢あの人に比べたら俺はやっぱりガキ？｣


あたしの言葉を遮るように、普段より少し強めな口調で空人が言う。

そんなことないよ。

そう言ってあげたいし、今では本当にそう思う。

だけど、最初はコドモだからと真剣に考えていなかったのは事実。

あたしは口ごもる。