キミはいつも意味を持たない
空人と会わない日々は流れるように過ぎ、一ヶ月ほどが経った。
相変わらず空人からの連絡はないし、あたしからも連絡はしなかった。
「例の高校生とはどうなったの?」
愛用のオレンジ色のポップなマグカップに口をつけながら、由美がちらりとこちらを向いた。
オフィスのポットでいれた安いコーヒーの香りがふわんとこちらにも届く。
あたしも休憩しようと、パソコンのデータを保存した。
「さあ、どうなんだろ」
あたしはそれだけ言って鞄からタンブラーを取り出す。中身は自宅でいれたコーヒー。
「なにそれ。会ってないの?」
「まあね」
もう会うことはないのかもしれない。
向こうから連絡をしてこないわけだし、きっと諦めたんだ。
もとから、高校生の単なる気まぐれだったんだ。きっと。