キミはいつも意味を持たない
あたしは昨日の出来事をおおまかに由美に説明する。
「17歳か。若いね」
そうなんだよね。
年下が嫌だとは思ってなかったけど、7つ下はやり過ぎ。
「面白いじゃん。制服着た男の子連れて歩くなんて貴重だよ」
「よしてよ」
「でもすぐに振らなかったんじゃない」
それを言われると辛い。
あたしは下唇を少し噛んだ。
「なんか、押しが強くてさ」
「それにしたってさぁ」
確かに押しが強いくらいで保留にしちゃうなんて、どうかしてるかも。
だけど、飾らない、真っ直ぐな言葉と瞳が、あたしの決断を鈍らせた。
それと、貸してくれたマフラーがふんわりと温かくて、思いがけず良い香りがしたことも。
「まぁ高校生なんて、保留にしてればすぐ飽きるよ。きっと」
あたしがそう言うと、由美も「そうだね」と笑って仕事に戻った。
今日マフラーを返すために会う約束をしていることは、何となく言わないでおこう。