キミはいつも意味を持たない
あたしは空人から真っ直ぐ向けられた視線を避けるように目を逸らした。
終わりにしよう。
これが一番ベストなんだ。
あたしはそのまま方向転換し、スーパーに行くことは諦めてマンションに直行することにした。
ちゃんとさよならを言った方が良かったのだろうか。
だけどすぐに思い直す。
そんなことしたって意味はない。
あたしと空人はもともと、さよならを言わなきゃいけないほどの関係じゃなかったんだから。
不意に冷たい向かい風が吹いて、あたしの目にじわりと涙が滲んだ。
「くそぅ……」
あたしは小さく呻いて、きゅっと目を閉じる。
けれどあたしはその行為を、すぐに後悔した。
閉じた瞼にありありと浮かび上がるのは、見覚えのあるキラキラと人懐っこい笑顔だったから。