キミはいつも意味を持たない
いつだって変わらずあたしに向けられた、柔らかな笑顔。
眩しいくらい真っ直ぐな瞳。
今さらこんなにあたしの心を掻き乱すなんて。
「ずるい、空人」
「何がずるいの?」
ぽとりと落としたあたしの独り言に返事があったことに、あたしは驚いた。
振り返ると、あたしのあまり見慣れない少し不機嫌な空人が居た。
「……何、してるの」
「それはこっちの台詞だって」
空人は小さくため息をついてあたしを見つめる。
いつもは眩しくて目を逸らしていた空人の視線。
今日のそれは鋭くて、逃げてしまいたくなる。
何も言わないでいると、空人は少し眉を下げた。
「俺のこと、そんなに邪魔なの?」
予想もしなかった空人の言葉に、あたしはパッと顔を上げる。
鋭く感じた空人の目は、なぜか弱々しく見えた。