キミはいつも意味を持たない
俯いたままでも、空人があたしに一歩近寄ったのが分かった。
手を伸ばせばすぐに触れられる距離に空人が居る。
気持ちを整理できないまま、必死でベストな切り抜け方を考える。
キレイに終わらせるんだ。
余裕を、見せなくちゃ。
「もう、いいよ。あたしはもうキミとは関係ないんだから」
かろうじて言えた台詞だけれど、それはあたし自身の胸に、なぜたか鋭く突き刺さった。
ああ、あたし多分、全然余裕を持てていない。
無理、してる。
それできっと酷い顔してるんだ。だって噛み締めた下唇がこんなに痛む。
何も言わず空人はあたしの腕を引いた。
「……いや。みないで」
「……見ないよ」
そうして気づくとあたしは空人の腕の中にいた。