キミはいつも意味を持たない
・賭け
あたしが黙っていると、空人はあたしの肩に頭を置くように寄せた。
「ほんとに好きなんだ。好き過ぎて、どうしたら良いのか分からない」
消え入りそうな空人の言葉が、あたしの耳をくすぐる。
空人のすることに計算はない。
いつだって自分の気持ちに正直なだけなんだ。
そのことに気づいたあたしは、自分が恥ずかしくなった。
あたしの勝手な物差しで計って、空人を誤解していたこと。
空人はこんなに真っすぐなのに。
あたしは少し躊躇いながらも、両腕を空人の背中に回した。
ぴくりと、空人の身体が強張る。
「あたしも、同じよ」
「え……?」
「あたしも、怖かったのかもしれない。空人があまりにも真っすぐだから、向き合うのが怖かったの」
空人は抱きしめていた腕を少し緩めて、あたしの顔を覗き込む。