キミはいつも意味を持たない
少し下がった眉の下で、相変わらず真っすぐな瞳があたしを捕らえた。
あたしは視線を逸らすことなく、その熱い眼差しに応えるように見つめる。
変なの。
緊張で震える。
「キミは、気まぐれや軽い気持ちじゃないのね」
「気づくのが遅いよ、智子さん」
そう言いながらも空人はふんわりと笑う。
ああ、あったかいな、って思った。
「智子さんと何度か会ってるうち、好きな気持ちはどんどん増えていったよ」
空人は笑う。
だけどその瞳は真剣だった。
「もう“お試し“じゃ嫌だ。……本当の彼氏にして?」
そう言った空人の顔はひどく大人びていて、耳たぶのピアスが不似合いにきらめいて見えた。
あたしは背中に回した手で、空人の上着をきゅっと握る。