キミはいつも意味を持たない
「でもね、空人。17歳の空人にはもっと出会うべき人や、経験すべき恋愛があるのかもしれない」
あたしが言うと、空人はなんだか不服そうに眉を寄せた。
だけどあたしは続ける。
「一番輝く時期なのよ。そんな時期をあたしのために費やす意味なんてあるの?」
あたしは真っすぐに空人を見つめた。
身体は抱き合ったままだから、顔がすぐ近くにある。
不安な心がそうさせるのかもしれないけれど、空人の視線が怖いと感じた。
住宅街に近い人通りの少ない道。
しだいに青みを増す夕暮れの空の下。
緊張で速まるあたしの鼓動に反して、空人はふっと表情を緩めた。
「意味なんて考えなくて良いだろ」
「え?」
「そうすることの意味があってもなくても。すべきことの正解があったとしても。したいようにするよ、俺は」