キミはいつも意味を持たない

空人はあたしの肩を掴み、そっと離す。

あたしより高い位置にある、その大きすぎない涼しげな目にあたしが映る。

すると空人はやけに真面目な顔つきになり、しっとりとあたしを見つめた。


「ずっと、智子さんが好きでした」


真剣な空人の言葉。
きゅっと、胸が鳴る。

どうしてくれるのよ、空人。

あたしはどうしようもなく、空人が愛しいみたい。


「俺と付き合って下さい」


あたしは空人の視線を受け止めたまま、しっかりと頷く。

すると同時に空人からたくさんの笑顔が零れ落ちた。


「好き! 智子さん、本当に大好き!」

「もう、分かったってば!」


ガバッと再び抱きしめてきた空人に、あたしは笑う。

以前は戸惑ったりもした空人のストレートな言葉が、今とても心地好い。
< 71 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop