キミはいつも意味を持たない

キスとキスの間に、吐息に交えて空人が囁く。


「絶対、離さないから……」


幾度も目にした、永遠の誓いがたやすく消えていく様。

形ない口約束は信じられなかったこれまでのあたし。

だけど熱いキスの間にくれた空人の誓いに、あたしは心が震えるのを感じた。

誓いが、約束が、果たされるかどうかはあまり重要じゃない。

今この瞬間の持ち切れないほどの気持ちを、ただ伝えたいだけ。

そしてあたしはそれに応えたい。


「離れないわ、絶対」


あたしが言うと、空人は幸せそうに微笑んだ。


意味のないことを避けていたあたしとは対照的。

キミはいつも意味を持たない。
ただそこには素直な気持ちがあるだけ。

いつの間にかそんなキミが、たまらなく愛しい。





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