押しかけ×執事
「さつきちゃん――」
後ろから静かな声がかかる。
裕一さんの声。
ううん――本当は「お兄さん」って呼ばなきゃいけない。
戸籍上、あたしたちは兄妹になったわけだから。
黒い上下に黒ネクタイの喪服姿の裕一さん――お兄さんは、あたしの隣に腰を下ろし、しばらく黙ってあたしと一緒に骨壷を眺める。
お母さんが亡くなってから、ずっと一緒にいてくれて、色々とあたしを気遣ってくれていた。
仲春のお屋敷からも使用人さんがお手伝いに来てくれていたらしい。
そんな人たちへの指示とかもしていたように思うけど、そんなのを感じられるほどあたしに余裕はなかった。
「大丈夫。さつきちゃんは独りじゃないよ」
隣にいたお兄さんが、優しい声であたしにそう言ってくれる。
「これからは、ぼくの家で一緒に暮らそう。屋敷にはたくさんの人がいるから、きっと寂しい思いはさせないよ」
そっか――お母さんがいなくなっちゃった以上、ここにもいられなくなっちゃうんだ……
小さな頃からずっといたこの部屋とも、お別れしなきゃいけない……
「……」
そう思うと、また一筋涙がこぼれた。
後ろから静かな声がかかる。
裕一さんの声。
ううん――本当は「お兄さん」って呼ばなきゃいけない。
戸籍上、あたしたちは兄妹になったわけだから。
黒い上下に黒ネクタイの喪服姿の裕一さん――お兄さんは、あたしの隣に腰を下ろし、しばらく黙ってあたしと一緒に骨壷を眺める。
お母さんが亡くなってから、ずっと一緒にいてくれて、色々とあたしを気遣ってくれていた。
仲春のお屋敷からも使用人さんがお手伝いに来てくれていたらしい。
そんな人たちへの指示とかもしていたように思うけど、そんなのを感じられるほどあたしに余裕はなかった。
「大丈夫。さつきちゃんは独りじゃないよ」
隣にいたお兄さんが、優しい声であたしにそう言ってくれる。
「これからは、ぼくの家で一緒に暮らそう。屋敷にはたくさんの人がいるから、きっと寂しい思いはさせないよ」
そっか――お母さんがいなくなっちゃった以上、ここにもいられなくなっちゃうんだ……
小さな頃からずっといたこの部屋とも、お別れしなきゃいけない……
「……」
そう思うと、また一筋涙がこぼれた。