チョコレート大作戦!
「忘れてたって、お前……」
呆れた顔であたしを見つめる楓に、急いで弁解する。
「忘れてたって言っても用意してないわけじゃないよっ! ちゃんとあるんだから!」
楓が女の子達から貰ったチョコレートについつい夢中になってしまって、自分のバレンタインのことなんてそっちのけでした……。
すぐさま冷蔵庫へと向かって、箱に入れられたタルトを取り出した。
「はい。これ♪」
いつの間にかあたしが座っていたはずの椅子に座っている楓に箱を差し出す。
「ん? これがお前からの?」
チョコレートじゃなかったからか、不思議そうに箱を見つめる楓にコクンと頷いた。
「開けてみて!」
ゆっくりと箱を楓を見て変な緊張が走る。
タルトをトレイから引き出した時、楓が驚いたように目を丸くしてあたしを見上げた。
「これ……お前が作ったの?」
「鈴さんに手伝ってもらって、作ったの」
「……鈴さんに?」
まだ意味の分かっていない楓に、あたしは全ての事情を話した。