チョコレート大作戦!




「……そういうことだったのかよ」


バレンタインで何にしようか迷った末に鈴さんの旅館を訪ねたこと。


楓の好きなものを教えてもらって一緒に作ったこと。


話し終えた後、楓は満足そうな表情を浮かべた。


「それで、これを作ったの」


食べやすいサイズにきったタルトを小皿に置いて、楓の前に差し出した。


「……いただきます」


そう言ってタルトをフォークでさす楓を見て、あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


妙な緊張が体に走る。


味見してないけど、美味しく出来たかな……?


不安と緊張が入り混じった複雑な気持ち。


楓は一口、タルトを口に入れるとあたしをまじまじと見つめた。


な、なに……?


なんか言ってよ……。


「すげぇ美味い……」


楓は、そう一言呟いた。


「本当!? よかったぁ……」


瞬間、気が抜けて、床にへたり込んだ。





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