チョコレート大作戦!
――2日後
バレンタインまであと3日となった週末。
あたしは電車とバスを乗り継いで、とある場所に来ていた。
やっぱりこういう時は、あの人に聞くのが一番だよね!
マフラーをぐるぐるに巻いてコートのポケットに手を入れながら砂利道を越えると、純和風のお洒落な旅館が見えてきた。
木に彫られた『彩』の看板を確認すると、あたしは旅館へと足を運んだ。
「……いらっしゃいませっ!」
石段を上がると一列に整列する中居さんの姿があった。
「あの……女将さんいますか?」
「お待ちください」と、一人の中居さんが笑顔で暖簾のかかった奥の間へと入っていく。
あたしは他の中居さんの提案で女将さんが来るまでの間、ロビーで待つことにした。
真ん中に聳え立つ滝からは穏やかな水音が聞こえ、なんとも風流がある。
あたしはその近くの焦げ茶色のソファーに腰かけた。
「よかったらお飲みになってください」
受け取ったお茶を一口すすって、辺りを見回した。