すっぱちゃっぷす☆
愛人の後を歩きながら


こぼれ落ちそうな涙を
愛人に気づかれないように
こっそり拭った。




今でも耳に残る声。



『ばぁか』



そんな風に言いながらも
優しく笑う愛人…



「お前まじ頭悪いな」




そうだね…

どれだけ愛人が大切だったのか


今さら気づいちゃったよ。



私、バカだね―…




「……っ」



あの日々に戻りたい―…


でもきっと…



きっともう無理。



愛人に嫌われた…


震える唇をかむ。



愛人がどんどん
離れていっちゃうよ――…。






私の足音が止まって

愛人が振り向いた。



少しの沈黙のあと


「何泣いてんの?」




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