すっぱちゃっぷす☆
美川さんは

両手を可愛いく合わせて
首を45℃に傾けている。


上目遣いの先には愛人。



「あ?」


友達と笑っていた愛人は
めんどくさそうに後ろを
振り向いた。



「プ・ロ・ム・だよ?」


「プロム?…なんだそりゃ?」


頭をかく愛人に美川さんは
モジモジ頬を染めながら続けた。



「だからぁ…愛しあう者同士がダンスをするの。
だから…いこ?」


私と…って意味だろうか。


人差し指で自分の唇を
軽く触っている。



やだ…

愛人…


Ok…するの?



しないで欲しい―…




愛人は首を傾げながら
美川さんを見た。


そして

「めんどくせぇから任せる」


そう言い捨てて
また友達と話し出した。


うそ…

私はショックを隠しきれない。



美川さんはうふん、と
勝ち誇ったようにあたしに
笑ってみせた。




ミカリンの怒りの言葉が
むなしく宙を舞う。



私と美川さんの
勇気の差が出た…。



勇気のない私は
悲しむ資格はない。



でも―…

やっぱり悔しいよ…








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