オレンジの彼。
嫌味な笑い顔を見せたまま、何も言わない。
知ってるんだ。
この先輩は、知ってるんだった。
「い…言わないでください」
俯きながら、必死に訴える。
勝手に気持ちを伝えられたら困る。
ましてや、相手が健ちゃんだし…。
避けられてるのも、嫌われてるのも知ってるから。
このまま気持ちを言って、一生喋ってもらえなくなるなんて嫌だ。
それも、勝手に伝えられた気持ちなんて…。
「何を~?」
にこにこと笑っている先輩。
…わかってるくせに。
「お願いですから…」
涙目になりながら、訴える。
「…ボソッ…その顔は反則だろ?」
「え?」
「いいよ、言わない」
「本当ですか?」
ぱぁっと顔が明るくなるのが自分でもわかった。
「その代わりーー…
明日から、バスケ部のマネージャーしてくんない?」