オレンジの彼。

「ほら、」

「…は?」

朔斗があたしの前でしゃがんでいる。


「ほら、早くしろよ」

「だがら、何がよ!!」

「その足じゃ歩けないだろ?おぶってやるよ」

「い…いい!!重いし!!」

「バーカ、んなこと分かってっから。早くしろ」

「でも…」

確かに一人じゃ歩けない。
だからといって朔斗におんぶしてもらうのは、恥ずかしい。


「あーもー、焦れってえな。さっさと乗れ!!」

そう良いながら、無理やりにあたしをおんぶした。

「お前…」

「ん?何?」

「ダイエットしろよ…」

「な、なんだとー?降ろせ、降ろせ!!」

足をバタバタさせる。


朔斗のやつ、女の子に向かって失礼じゃない?
ダイエットしろって、確かに重いけど!!


「おい、暴れんなって。冗談に決まってんだろ?男だぜ、俺」


冗談でも言っていいこととダメなことがあるでしょ?



「痛い!!」

足をバタバタしていたせいで、ピキッと痛みが走った。


涙目になりながら動かすのを辞めた。


< 18 / 84 >

この作品をシェア

pagetop