オレンジの彼。
全身が心臓みたいに体温が上がって行くのが分かった。
ど…うしてしってるの…?
言ったのは、あたし?
言ったことない。
奈々以外に言ったことがない。
結城先輩は、何故か知ってるけど…。
なんで、なんで?
しかも、よりに寄って朔斗!?
「まあまあ、んな焦んなよ。」
焦んなって言われたって、この状況で焦らない人なんている?
正気で居られる訳がない。
「上手く言っといてやろうか?俺が健吾と仲良いの知ってんだろ?」
ニヤニヤしながら、言う朔斗。
「や、やめて‼」
否定するでもなく、あたしは叫んだ。
「お願い…やめ…て。健ちゃんに、嫌われてるの知ってるから。だから…勝手に伝えるのだけは、やめて‼」
涙目になりながら、朔斗の腕を掴んで必死に訴える。
驚いた表情を見せてから、
「いいよ。その代わり、
ーー俺の言うこと、全部聞いて?」
と、悪魔の微笑みを浮かべながら笑った。