オレンジの彼。
それから、帰り道。
いつもみたいに他愛もない話をして、2人で笑いながら歩いた。
ただ、話をして。
ただ、笑い合って。
ただ、一緒に居る。
それだけなのにいつもの長い道のりが、朔斗におんぶしてもらっているせいかすごく短く感じた。
「本当、ありがとう。」
朔斗の背中を降りて、エレベーターの前で立ち止まる。
「おう。ここまでで大丈夫か?」
「うん。大丈夫!!」
「お礼は…明日の差し入れで良いから」
「はあ!?」
びっくりして声が裏返る。
「明日、部活朝だし。その時に持って来て」
「作るなんて言ってないし!!だいたい、何作れば良いのよ?」
「レモンの砂糖漬け!!」
目をキラキラと輝かせていう朔斗。
それをみて、思わず笑ってしまった。
「しぃ?」
後ろからちょっと高い声が聞こえた。