オレンジの彼。

「はやっ!!」

あまりの早さにビックリして叫んでしまった。
つい、さっき帰ってきたんだよ。

いくらなんでも早すぎでしょ。


「あら、カレーはもうできてたのよ。ただ、福神漬けがなくってねー。あれがないとカレーって感じがしないでしょ?だから、買ってきたのよ。そしたらね、しぃとふふ..」

急に真剣な表情になって、カレーを語りだすお母さん。


あたしは呆れた顔をしながら、

「確かに福神漬けがないのは嫌だけどさ、何?最後のふふって!!」

と怒った。


「いただきます。」

あたし達の言い合いをさえぎるように、手を前で合わせて言う朔斗。


「どうぞ~。遠慮しないでたくさん食べてね♪」

カレーをスプーンですくって、おいしそうに食べる朔斗。

「う、うまい!!」

「あらそう♪良かったわ」

満足そうなお母さん。



はぁ..とため息を吐く。
あたしもスプーンでカレーをすくって口の中へと運んだ。
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