オレンジの彼。
――っえっ!?
なんで...??
なんでここにいるの?
なんで、健ちゃんがここにいるの?
あたしの頭の中は完璧にパニックになっていた。
「あら♪本当。しぃちゃんのボーイフレンドがいるじゃない」
「ねー。かっこいいでしょ?しぃも隅に置けないわよねー♪」
お母さんたちのトークにも言い返せないぐらい、あたしの頭の中は真っ白になった。
「あれ?朔斗じゃん。何でこんなとこいんの?」
と、健ちゃんが言う。
「色々あってな。健吾こそ、良く詩織ん家来るの?」
「最近は滅多に来ないけど、昔はすごい来てたよ。なあ、しぃ?」
「あ、うん...」
あたしの頭はまだ正常には動かなかった。
「あら、健吾知り合いなの?しぃちゃんのボーイフレンドと」
「ああ。俺の親友だし」
「そーなの?健吾、モタモタしてるからしぃちゃんを朔斗くんに取られちゃったわねぇ」
「別に、俺のじゃないしな」
そう言って、笑いあう健ちゃん達。
あたしの視界には健ちゃんしか映らなかった。