オレンジの彼。

ガタンっ。
と、椅子から落ちそうになった。

それを朔斗が支えてくれた。

「大丈夫か?健吾には、後で説明しとくから」

と小声で囁く朔斗。

あたしは、頭を上下に動かした。


「さぁ、真智子も健吾くんもカレー食べてって♪」

お母さんが、カレーを2つリビングから持ってきた。

「いつも、ごめんね」

そういいながら真智子さんは、カレーを受け取った。
健ちゃんもカレーを受け取って、軽く頭をさげた。


「それで!!最近は、どこでデートしたのかしら?」

「ここら辺で行くとこなんて、あんまりないわよね」

お母さんと真智子さんが、勝手に話を進める。

「違っ!!」

「あたしのときは、帰り道に一緒に帰るぐらいよ」

「そうよね~。最近の中学生はどこへ行くのかしら?」

あたしの話を全く聞いていない。
それどころか、どんどん話を進める。


「だ~か~ら~!!」

あたしはちらっと健ちゃんの方を見た。

健ちゃんは、お母さんと真智子さんの話を気にもせず、黙々とカレーを食べている。


…健ちゃん。

そうだよね。
あたしのことなんか、どうでもいいよね。

健ちゃんにとったら、あたしはただの幼馴染。
健ちゃんが気にする必要なんて、ない。


「あの!!」

朔斗がいきなり大声を出すから、全員が朔斗に注目する。

「本当っに、俺と詩織。ただの友達なんで!!」

そう言い切った。



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