オレンジの彼。
★お隣さん
無意識に窓から朔斗の姿を目で追った。
小さく見えなくなるまで、あたしは朔斗を眺めた。
キィーと音を立ててドアが開いた。
「しぃ?」
少し低い声であたしの名前を呼ぶ。
その人の登場によりあたしの身体は石みたいに動かなくなった。
なんで?どうして?
「しぃの部屋来たの久しぶりだな」
「え?…あ、うん」
健ちゃんがここに居るの?
「しぃなんでマネージャーになったの?」
椅子の上に座りあたしを真っ直ぐ見つめる健ちゃん。
「それは…」
言える訳がない。
健ちゃんのことが好きで、結城先輩に脅されてるからなんて口が裂けても言えない。
「朔斗がいるから?」
健ちゃんからの予想外の言葉に、あたしの頭は?でいっぱいになった。
「なんで…朔斗?」
疑問に思い、聞き返す。
「付き合ってるんだろ?朔斗と。」
「え?」
「さっきの見てたから分かるよ。母さん達には、隠してるみたいだけど」
そう言って、顔を隠してしまった健ちゃん。