オレンジの彼。
「てなわけで、よろしくな‼」
後ろから勢いよく、頭を叩かれた。
「…痛った…って何すんのよ!!」
頭を揺すりながら後ろを振り向き、朔斗を睨みつけた。
「挨拶?」
笑いを堪えながら言う朔斗。
「…うっさい!チビ」
「誰がチビじゃ、ボケ」
「…チビだから、チビなのよ!」
「2回もいうな、アホんだらー」
「…3回言うわ、チビ朔」
「てめっ。なんでよりによってこんなデカ女が隣なんだよ」
「あんたが小さいだけ!あたしの身長は普通なの。朔斗が小さいだけ」
朔斗っていうのは、同じクラスのチビ男子。
顔は可愛いから、女子から人気があるんだけど性格は最低。
「2人とも…近くになったんだから、仲良くしようよ」
呆れた顔で腕を組んでる奈々。
「「だって、こいつが!!」」
あたしと朔斗の声が重なる。
はぁっと溜息をつきながら、
「…朔斗、バスケでしょ?詩織ちゃんも落ち着いて」
と、あたし達の頭を軽く叩く。
「ほら、分かったら朔斗はバスケ!行ってらしゃい」
朔斗の背中を軽く押して、手を振っている。
「はいはい、行ってくるわ」
ひらひらと手を振りながら走っていく。